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(月3回以上更新目標)

批評ミニアルバム_メイキング1

政治情勢が動いていますが、私は変わらず自分のことを語り続けています(笑)。1本目の批評ミニアルバムラインナップについて決めました。比較的長い記事は、いずれも映画評にしようと思います。ノンフィクションマラソンも、本企画と連動させたいと思っています。

〇「映画」というリミットを超えて ―ジャハール・パナヒ『これは映画ではない』『人生タクシー』論

既に短評を書きましたが、『人生タクシー』を見て本当に感心したので、感心した点を原稿用紙20枚程度に簡潔にまとめたいと思います。

tsubosh.hatenablog.com

 ちなみに彼の『オフサイド・ガールズ』も見てみました。この映画も前半ちょっとしんどい映画なのですが、後半に怒涛のカタルシスが訪れます。これを機に、パナヒの師匠筋のアッバス・キアロスタミや、最近のイラン映画(ゴバディ、マフマルバル)も見てみたいなと思います。

〇あるドキュメンタリー映画作家を戦後という観点から考えてみたいと思っています(原稿用紙30枚程度)

〇上記記事とは関係ない長めの書評を2-3本載せます。

これを来年のこの時期までにやろうと思います。途中経過も折を見て書きたいと思います。まとまった分量の文章を「書き溜める」ことの重要性を痛感しています。なぜ今まで、書き溜めてこなかったのだろうと反省する限りですが、前を向いてやっていきたいと考えています。

三歩後退一歩前進(その7)

11月中旬まで更新しないと書いたのですが、早速、前言撤回して書いてしまいます。今回は、思い込みはいけないという話です。

大学院で行き詰まり(いや「息詰まり」といった方が正確でしょうか)、就職することにしたのは20代も後半の頃でした。ただ、就職するといっても年齢的、キャリア的に厳しい展開が予想されました。また、就活の際、面接でメンタルがつぶれることだけは避けなければと考えていました。そこで、某予備校の司法書士の講座に行くことにし、同時に就職活動をするという方針を取りました。お金は恥ずかしながら、実家から出世払いでもらいました(今振り返ると、本当に恵まれた環境でした…。)。就活全滅でも、少しでも資格取得に近づいていれば、心理的保険ができると考えたからです。

司法書士の勉強を始める前には、法律に全く興味がありませんでした。というより、法律家は、社会の"体制"側につく者として、何の根拠もなく嫌っていました。完全にバカな思い込みです。生活のためという、学問を志す者や"反体制"の側から見れば完全に不純な動機で法律を学び始めたのですが、民法、商法、憲法等の全体像を紹介する講義を聞いた後「しまった」と思いました。率直に言って面白かったのです。また、大学院で倫理学もどきを勉強していた者からすれば、法学を全く知らないのはまずいとも思いました。

例えば民法では「私的自治の原則」を学びます。哲学的アプローチでは、「私的自治の原則」の歴史的淵源や、概念的な分析を行うことになるでしょう。逆に民法では、少なくとも実務的側面からは、その原則がどのように現実に適用されるかが大事になります。条文にせよ判例にせよ、それらは原則の標準的な適用方法の束であり、且つこの社会の規則・規範となります。この社会の現実的な規範と、原則の豊富な適用例を知らず、善悪を語っても説得力がないのではと考えたのです。

その時気づいていたのは、法律に実体法と手続法があるように、学問にもレイヤーがあるということです。コンピューターになぞらえば、哲学がOSであり、法律がミドルウェアであり、社会学などがアプリ層に当たるともいえるでしょうか。それぞれの学問にそれぞれの機能があり、いずれも決して馬鹿にできないものだと、少し謙虚になりました。

その後、社会人になり司法書士は取らずじまいですが、思いこみはいけないという格率だけは残りました。ちなみに、社会人になった直後、同様に避けていたIT関連の勉強をせざるを得なくなり、そこでももっと早くIT関連の勉強をしておけばと後悔しました。

因果は巡るもので、数年前からまた法律に縁が出てきました。そこで、11月に知識の整理を兼ね行政書士試験を受けることにしました。ぶっちゃけ9月スタートなのですが、棄権せず受けてこようと思っています。自分の戒めのために、点数をこのブログに書こうと思います。

そんなこんなで少し更新が滞ります。11月中旬以降、また会いましょう。

三歩後退一歩前進(その6)

前回の記事で「『勉強の哲学』をきちんと読み終える」と書きました。最近、仕事関連の勉強に忙殺されていたため、やっと連休中に読むことができました。読み始める前はどんな本なのか一抹の不安がありましたが、筆者の誠実な姿勢に共感を覚えました。また、この本は、フランス現代思想入門として大変優れていると思います。興味がある方は手に取ってみてはどうでしょう。今回の記事では、『勉強の哲学』の感想を、自分なりに変奏してみたいと思います(韻、踏みました。)。

勉強の哲学 来たるべきバカのために

勉強の哲学 来たるべきバカのために

 

 さて、社会人になると学生時代と違うタイプの本を読むようになります。例えば、時間管理術、勉強術などの自己啓発本です。最近(私の周りでは)あまりお名前を拝見しませんが、昔は勝間和代さんの本も読みました。(その影響で、レッツノートを買ったことも思い出してしまいました…。)ちなみにこのブログの最初の方の記事でも自己啓発系の本が紹介してあったりします。

自己啓発本も全く読まないよりは読んだ方がいいと思います。ジャンルの癖を知ることはとても大事なことです。しかしながら、私は、ある程度自己啓発本の読書経験を積むと、息苦しさを感じるようになりました。端的にはこんな気持ちです。「そんなに『スキルアップ』してどうするんですか?」。頑張ってスキルアップしても、現実にはそれに比例して年収がアップすることはない、という点もあります。しかし、私が自己啓発本が提示する「未来」に全く惹かれなかったというのが大きいです。比喩的には、自己啓発系の本は、「入口」としては優れたものがあっても、「出口」がない本だったのです。

『勉強の哲学』の優れた点は、自己啓発本の形態を取りながら、性格が全く逆な点にあります。それは、既成の出口でない、自分なりの出口(「逃走線」ともいえるのでしょうか。)の作り方のヒントを提示している点にあります。(思いつきですが、自己啓発的欲望に抗する観点から、『アンチ・オイディプス』や『ミル・プラトー』を読むのも面白いかもしれないですね。)

実は「自分の問題意識をたどり直し、きちんと専門領域を決め、1本、論文(的なもの)を書く」ために、大学院に社会人入学して論文を書くのも一つの手かなと少し考えていました。ただ、現時点であまり大学院に魅力を感じない、時間的・金銭的にもしんどい、そもそも対象がまだ絞り切れてないと、考えていました。出来ないことをやろうとしても絶対にうまくいきません。しかもワクワク感が全くない選択肢です。

そこで、少し発想(言葉)を転換するため、言葉遊びをしてみました。すると、自分の目指すべき形をアルバムとしたらよいのかなと思いつきました。そう、論文でなくアルバムです。比較的長文の文章を、批評アルバムとして発表するのです。10本くらい書き溜めてアルバムを作りたいなと思っています。CDの歌詞本のような体裁としたら面白いですよね。ZINEやリトルプレスを参考にして、ちょっとしたレイアウトやデザインの勉強もできます。

ということで早速、現在、個人レーベルTCF(Tsubosh Critique Factory)で、シングル作を執筆中です。レコーディングの影響で、この三歩後退一歩前進シリーズは11月中旬までお休みしますが、その頃にはシングル作を1本お見せできるのではと思っています。楽しく、且つ、現実的に歩を進められればと思っています。

映画の奈落

ノンフィクションマラソン21冊目は『映画の奈落』です。今回は記事自体は短いです。

映画の奈落: 北陸代理戦争事件

映画の奈落: 北陸代理戦争事件

 

 滅法面白いノンフィクションです。笠原和夫脚本『仁義なき戦い』シリーズを脚本家高田宏治がどう超えようとしたかを軸に、現実を素材とした実録映画が逆に現実に飲み込まれていく様子が、時系列に沿って書かれています。

最近は便利になり、映画を動画配信で見ることができる時代となりました。早速、「北陸代理戦争」をGooglePlayで見てみました。脚本もさることながら、撮影、編集、演技、いずれもかなりレベルが高いです。ロケがかなりムチャな日程だったことが上述の本に書かれていますが、その影響なのか、映画に妙な疾走感、ドライブ感が宿っています。深作欣二、やっぱりすごいなと感じてしまいました。映画も見てみることをお勧めします。

サンシャイン水族館

8月25日に、職場の同僚とサンシャイン水族館に行ってきました。とても良かったのですが、一人では行くのはハードルが高いかなと…。写真を数枚撮りましたので、記念に貼り付けておきます。今年の夏ももう終わりつつあります。

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