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映画

【映画評】<映画>と<映像>のリミットを往還する―ジャハール・パナヒ『これは映画ではない』『人生タクシー』論(後編)

前編はこちら。 tsubosh.hatenablog.com 2.『人生タクシー』 (a)内容と形式 Yahoo! Japanの映画ページでは、『人生タクシー』は次のような紹介がされている(2017年12月時点)。*1 カンヌ、ベネチア、ベルリンの世界三大映画祭での受賞経験を持つ名匠ジャ…

【映画評】<映画>と<映像>のリミットを往還する―ジャハール・パナヒ『これは映画ではない』『人生タクシー』論(前編)

この記事(前編・後編)では、『チャドルと生きる』(2000年、英語題:The Circle)、『オフサイド・ガールズ』(2006年、英語題:Offside)などの作品で知られるイランの映画監督、ジャハール・パナヒが制作した『これは映画ではない』(2011年、英語題:This…

イベント行ってきました①(17年10月14日、15日)

10月14日、15日と次のイベントを聞きに行ってきました。 〇哲学と映像の「存在論的転回」@ゲンロンカフェ(10月14日) genron-cafe.jp 〇「柳澤壽男・障がい者ドキュメンタリー傑作選」2本立て上映+トーク@UPLINK FACTORY(10月15日) 【News】10/15(日…

ありがとう トニ・エルドマン

そういえば、最近、ヨーロッパ映画ばかり見ている気がします。 【予告編】映画『ありがとう、トニ・エルドマン』 『わたしは、ダニエル・ブレイク』はワーキングクラスの困難を描いていましたが、この映画はグローバル資本主義の中に生きるホワイトカラーの…

わたしは、ダニエル・ブレイク

『麦の穂をゆらす風』などのケン・ローチ監督作!映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』予告編 見過ごしていた作品をやっと見ることができました。ケン・ローチの主題である行政システムと人間の尊厳との間の相克の問題に真っ向から向き合った作品で、素晴ら…

皆はこう呼んだ 鋼鉄ジーグ

週末に『皆はこう呼んだ 鋼鉄ジーグ』を見ました。 『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』予告編 期待していたより遥かに良い映画でした。よくわからないけど、紛れもない傑作だという確信があります。本作がアメコミヒーロー物と違うということはは色々なレビュー…

人生タクシー

『人生タクシー』(ジャファル・パナヒ監督)を見ました。 反体制的な活動のため20年間の映画製作を禁じられたイランのパナヒ監督。彼の『これは映画ではない』は、その環境を逆手に取り、「脚本を読んだり動画を撮影したりするだけでは映画製作にならないの…

あけおめ&2012年の映画ランキング!

新年、明けましておめでとうございます。関係各位にはご迷惑をおかけしております…。さて、仕事帰りに映画で気分転換することが多い旧年でした。メモを取ったのが10月からだったのですが、以下に紹介していきます。各カテゴリー内は順不同です。というわけで…

マグナム・フォト

5月からブログ書いていないことにぞっとしました。本日、「マグナム・フォト」という映画を見ました。http://www.nowonmedia.com/magnumphotos/index.htmlマグナムという報道集団の特性、そしてきちんと現在のマグナムが抱えている問題点(伝統的な「報道写…

映画「悪人」

素晴らしいです。本当に素晴らしかった!タイトルが「悪人」となっていますが、この映画がテーマとしているのは個人に帰属される「善悪」ではなく、社会の「構造的暴力」ともいえるものです。都市と地方の格差、大学生と肉体労働者の格差など、圧倒的な社会…

グリーンゾーン

「グリーン・ゾーン」(ポール・グリーングラス監督)を観てきました。まず、私は手持ちカメラ、ブレブレ映像大好きなので、どうしてもこの手の映画には好意的になってしまいます。(ちなみに「仁義なき戦い」も大好きです。)この映画は、イラクの大量破壊…

オーケストラ!

かなりいい映画です。この映画の的確な批評を、粉川哲夫さんがされています。(この批評、かなり気合が入っています) http://cinema.translocal.jp/2010-02.html#2010-02-10最後のコンサートのシーンがすごいと言われていたけど、前半のドタバタも好きです…

プレシャス

「プレシャス」を見てきました。いい映画でした。観る前には社会派独特のしんどい展開になるかもしれないと思っていましたが、観終わった後、希望が持てる素晴らしい映画でした。この映画の監督はインタビューで、「自分自身の愛し方について学ぶ映画だ」と…

シャッターアイランド

主人公がはめられている可能性を否定できないのは、私が陰謀論好きだからでしょうか(笑)。

シャーロック・ホームズ[映画]

ジェレミー・ブレッド版のホームズの印象が強すぎてこの映画楽しめるかなと思っていましたが、十分楽しめました!

ずっとあなたを愛している

『ずっとあなたを愛している』(フィリップ・クローデル監督)を見てきました。実はクライマックスのところで、腹痛が…。というわけで、なんとももったいない見方をしてしまいました。(しっかり見れてはいないのですが、ラストは駆け足すぎた感があります)…

インビクタス‐負けざる者たち‐

クリント・イーストウッドの新作、「インビクタス‐負けざる者たち‐」を見てきました。 http://wwws.warnerbros.co.jp/invictus/この映画、実はそれほど期待してはいなかったのですが、まとまったよい映画となっていました。この映画のキモは、マンデラを、徹…

カティンの森

アンジェイ・ワイダ監督の「カティンの森」を見てきました。 http://katyn-movie.com/pc/予告篇を見た際、「ポーランドに人生を捧げた男、アンジェイ・ワイダが世界に放つ畢竟の大作」とあり、なんかすごい宣伝文句だなと思っていました。しかし見てみると「…

アバター

本日で今年の仕事は終わり。というわけで、気分転換に「アバター」を見てきました。 (通常・字幕版で見ています)http://www.youtube.com/watch?v=qYe-ncx3rVEはじめは「この映画、自分に合うかな」と半信半疑でしたが、実際に見てみると素晴らしい映画でし…

戦場でワルツを

「戦場でワルツを」を見てきました。 イスラエルのレバノン侵攻、 特に「サブラ・シャティーラの虐殺」を 当時、作戦に間接的に関わったイスラエル兵士から描いた、 アニメドキュメンタリーです。 実はこの「サブラ・シャティーラの虐殺」は、 私にとってず…

This is it

最近、偶然にもマイケル・ジャクソンの素晴らしさを 発見したので、ちょうど良いタイミングと思い、 「This is it」を見てきました。 http://www.sonypictures.jp/movies/michaeljacksonthisisit/ 感想は… すみません、すごすぎます。 圧倒的なレベルの音楽…

空気人形

「空気人形」(是枝裕和監督)を見てきました。 http://www.kuuki-ningyo.com/index.html ちょっとすごいですね。脱帽しました。 昔、是枝さんの「誰も知らない」を見たとき、 ドキュメンタリー的すぎて、苦手だったのですが、 今回は完全なフィクションにな…

7月第2週;ディア・ドクター

本当にひょんなきっかけで「ディア・ドクター」を見ました。http://deardoctor.jp/感想は本当に素晴らしかった。とにかく脚本がうまい。役者の配置がうまい。更にいろいろなことを考えさせられました。この映画には様々なテーマがあります。そのなかでいちば…

レスラー(映画)

噂の映画「レスラー」を見にいきました。http://www.wrestler.jp/率直な感想としては、「なんとも言えないなー」という感じです。映画としての出来以上に、主人公の人生に何ともいえない感じを持ちました。感動したというにはほど遠く、"なぜなんだ"という疑…

グラントリノ

さっそく、本日公開のグラントリノを見てきました!http://wwws.warnerbros.co.jp/grantorino/素晴らしい映画だと思う。コメディタッチのところが特に素晴らしい。ラストがすごいという話を聞いていたのだけど、正直、これには違和感を持ちました。ただこの…

ウオッチメン

噂の「ウオッチメン」(ザック・スナイダー監督)を見てきた。同じアメコミものでもダークナイトの方が数段優れていると感じました。『ウオッチメン』、ヒーローものを脱構築(というよりは自己批評)したアメコミとのことですが、映画版を見る限り、一貫し…

映画短評2本

映画短評2本■ランド・オブ・ザ デッド(ロメロ監督) きわめて政治的にわかりやすいゾンビ映画。というか露骨にブッシュ政権批判だった。■オール・ザ・キングスメン これはとても面白かった。ヒューイ・ロングという政治家がモデルらしい。 http://ja.wikipe…

300

映画『300』(ザック・スナイダー監督)を見た。http://ja.wikipedia.org/wiki/300_(映画)「ダークナイト」が抜群に面白かったので、アメコミ映画版を見てみようとして大失敗。単に映像フェチだけじゃないか。内容は300人のスパルタ人が、100万?のペルシャ…

チェンジリング

チェンジリング、名作です。イーストウッドさすがです。難波のTOHOシネマズで見てきました。この映画は決して感動の物語ではありません。世の中すべてが間違っていて、残酷な事実がわかろうとも、真実を追い求める勇気がテーマの映画です。

ベンジャミン・バトン

「ベンジャミン・バトン」(デヴィッド・フィンチャー監督)を見ました。http://wwws.warnerbros.co.jp/benjaminbutton/80歳で生まれ、徐々に若返っていく男の話。これにアメリカの歴史が重なりあわされます。映像は素晴らしいですが、感動したかといわれる…