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鋼の錬金術師

いやー、ちまたで錬金術錬金術と騒がしいので、『鋼の錬金術師』(10巻まで)読むの忘れていたの思いだしました。

感想は「面白い」です!この漫画でいう「錬金術」とは、まさに現代の科学そのものなんですね。国家と科学との関係、科学と軍事の関係、そして生命科学の話を含めて、きわめてアクチュアリティーがある作品です。

作品のなかで「等価交換」がキーとなる概念ですが、おそらく等価交換できないものがあることが作品のキーですよね。人の死と何が等価か、人の愛と何が等価か、絶対に答えられないですよね。等価交換という原理を徹底させることで、等価交換できないものの存在が逆説的にあぶりだされてきます。哲学の言葉でいえば、個人の「事実性」(ハイデガー)なり、自他間の「絶対的非対称性」(レヴィナス)の問題です。

でも等価交換という言葉はもっと大きな思想的なバックグランドがあるのですが、それはいつかのお楽しみということで。