なぜか新国立劇場で『シラノ・ド・ベルジュラック』を
見てきました。
構成・演出は鈴木忠志。
ただし私は何も演劇のことをしりません(だじゃれ)。
感想としては、よくできた演劇でした。
ただ原作がはちゃめちゃに面白いので、その面白さにくらべて
きわめて「真面目な」演出となっていた観があります。
よくできたというのは、
西洋の作品である『シラノ・ド・ベルジュラック』を
日本的な武士道の滅びの世界へと翻訳して、
それでも劇としての形がまったく崩れていないからです。
ただ西洋の演劇を東洋風に翻訳するという作業には、
当然ながら、その西洋的な作品の核心が、
どこにあるのかを理解することが大事な作業となります。
演出家は、フランスの騎士道(?)を劇の重要な要素と考え、
騎士道を武士道へと翻訳する作業をしていたような気がします。
しかし『シラノ・ド・ベルジュラック』の面白さには、
自分の思い込みだけで劇をつぶしにいき、
鼻のことをからかわれたらすぐ決闘するような
武士道とは相容れないシラノの振る舞い、また、
はちゃめちゃな、世俗的なカーニバル的要素もあると私は思うので、
劇の演出として「真面目な」演出になりすぎている、
シラノの裏にあるフランスの生き生きとした世俗的世界の姿が、
見えなくなっているという感がしました。
でも東京駅こんでたな。。