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調べる、伝える、魅せる!

『調べる、伝える、魅せる!―新世代ルポルタージュ指南』(武田徹著 中公新書ラクレ)
を読みました。

冒頭「この本は、怒りと憤慨を契機として書かれた」とあります。何に対する怒りか?それは、巷にあふれる。「メディアリテラシー教育」に対してです。多くの大学で行われている「メディアリテラシー教育」は、ただマスメディア業界の内幕を教えたり、画像編集ソフトの使い方を教えたりするのみのレベルに留まっていると指摘されています。

そのレヴェルに留まらないために、筆者は、大学のメディアリテラシーの授業で、学生に「ルポルタージュ」を書かせ、「ノンフィクション」を撮らせています。本気でルポやドキュメンタリー製作をすれば、「事実とは何か」、「効果的な文章表現とはそもそも何なのか」、「調査対象との関係はいかにあるべきか」という小手先の技術に還元されない本質的な問題にぶちあたると、筆者は考えています。

この考え、かなり正しいのではないでしょうか。「なんとかリテラシー」という科目が随分増え、旧来的な学問からはイカニモ軽重浮薄な感じがするかもしれなません。けれども実際に生きていく上で、たんなる読み書きを超えた「調べ・表現し・魅せる」リテラシーは必須だと思います。事実が揺らぎすいものだということがわかれば、TVを見る視線も変わってきますし。