体の贈り物

『体の贈り物』(レベッカ・ブラウン著 新潮文庫)
を読みました。



この本、エイズ患者のホームケアをした際のルポルタージュといった趣のある本だが、紛れもなく短編小説の本でもあります。ルポと短編小説--その関係や如何といったところだが、感心して読んだ一節が下。

誰もそこから生きて帰ってこられないホスピスへ行かざるを得ないエドを見つめたシーン。

「エドはスプーンを落とし、両手に顔をうずめた。肩が震えた。私はエドの肩に触った。エドは両手を顔から離して私を見た。顔も目も赤かった。口が動いていた。他の部分も泣こうとしていたが、涙管が損なわれていて、泣けなかった。」(p50)

「涙管が損なわれていて・・」の箇所で、情緒的な悲しみから、物質的な哀しみを持ち始める。哀しいのだが、なんともいえなく哀しい。このエド、別の短編では「スーパー・エド」となるのだが・・・