『赤と黒』 (光文社古典新訳文庫 Aス 1-2)
で誤訳が多いことがわかったらしい。
http://www.geocities.jp/info_sjes/newpage3.html
この新訳、実は私は読んでいたのだけどめっぽう面白かったのだ。
ナポレオンの時代に「遅れてきた青年」であるジュリアン・ソレル、強烈な上昇志向の彼が、レナール夫人やマチルダとの出会いを経て「幸福」とは何かに目覚めていく。「幸福」というものを考えさせられるテキストだ。
新訳「で」面白いというよりは、『赤と黒』「自体が」面白かったのだろう。上の会報をみると壊滅的な批判となっている。学者がある学者に対等に議論をふっかけるというよりは完全に上から目線でつぶすモードだ。ここまでのことは普通はしない。しかも原文と訳文を具体的にあげているので私が見ても確かにこれは・・・という訳となっている。でも誤訳が多くてもここまで面白いテキストとは、とテキストの持つ力とは何かと考えさせられた。