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トクヴィル

トクヴィル―民主主義の三つの学校 (ちくま学芸文庫)
トクヴィル―民主主義の三つの学校 (ちくま学芸文庫)
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を読みました。

ただきわめて重複が多い本で、全体の3分の2まででの感想。

フランスに作ることができないものが1つだけある。それは自由な政府である。そして破壊することができない制度がある。それは中央集権である。(p226)

トクヴィルは、アメリカに渡り、「民主主義」の"習慣"が全く異なっていることに愕然とします。フランスでは、各個人に(既得権のはく奪という)平等は行き届いているのだが、強大な行政機構が「後見的」にそびえており、個人が強大な行政機構に直で向かっている形態の民主主義である。それに対して、アメリカでは、<国家と個人の間に、さまざまな中間集団(アソシアシオン)があり、それが個人が社会と係わる際の蝶づかいとなっている。国家と中間集団と個人が多元的に絡み合っているのがアメリカ型の民主主義である、と彼は考えるのです。

この2つの民主主義の違いは、社会変動期に大きな違いを生んでしまいます。フランス型では(社会的バッファがないため)革命や独裁を生み、アメリカ型では漸進的な進歩を生むのです。この本を読むと日本がきわめてフランス型に近いと感じます。それも大革命前のフランスに。

下のトクヴィルの言葉は素晴らしいです。私たちは「自由」を主張するのではなく学ぶ必要があるのです。

大いに強調すべきことは、自由である術ほどすばらしいものはないが、自由の体験学習ほど難しいものはない、ということである。(p68)