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芸術作品の根源

芸術作品の根源 (平凡社モダン・クラシックス)
芸術作品の根源 (平凡社モダン・クラシックス)
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を、今頃、読みました。はじめは期待していなかったのですが面白かったです。

"理論"的に面白いというより、"表現"が面白いですね。世界(人工)と大地(自然)との理想的な関係として下の部分を読むとこういった表現の仕方があるのかと思います。

(注意)人工・自然と類比的に読むのは正確にはミスリードです。ハイデガーが批判している形而上学的用語だからです。

世界とは、歴史的な民族の命運となるような単純にして本質的な諸決定の広い軌道のそれ自体を開けている開けである。大地とは、つねに自己閉鎖し、そのようにして保蔵するものが、何ものにもせき立てられずに現れてくることである。世界と大地は、本質的にはたがいに異なるものであるが、しかし両者はけっして切り離されてはいない。世界は大地の上にそれ自体を基づけ、大地は世界中いたるところに突出する。(…)世界と大地の相互対立は闘争である(…)けれども本質的な闘争においては、闘争するものたちは、一方がそのつど他方を、その本質の自己主張へと高めるのである。(p65-66)

知り合いに研究されている方が多いのでこれ以上のコメントは控えますが…。