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ヒューマニティーズ 教育学

教育学 (ヒューマニティーズ)

教育学 (ヒューマニティーズ)

この本を読んだきっかけは、最近、仕事柄、社会教育に興味があり、教育学全体の見通しを得ておこうと考えたからです。

私が教育学に疎いからかもしれないのですが、この本を大変面白く読みました。

私は、理論教育学、教育哲学に対して、ずっと偏見を持っていました。その偏見は、理論教育学は、哲学より不徹底なだけな理論ではないかという偏見です。そんな学問に何の意味があるのかと。

この本は、理論教育学の不確実性を認めます。そして論法として、「理論的教育学は、ないよりある方がよい」という方法を取ります。理論教育学も、教育の目的に関する、確実な答えは提供できません。しかし個人の経験談や思いこみで教育が語られがちなこのご時世、確かではなくてもいくらかでも洗練された教育理論は、無駄ではなく必要なものだ、と筆者は考えます。

この「暫定的進歩主義」ともいえる思考に、私は共感を覚えます。この立ち位置というものは、現在における正しい理論研究の位置取りだと考えます。