最暗黒の東京

ノンフィクションマラソン、これからは古典と最近の本をローテしていきたいと思っています。さて、16冊目の今回は古典のパートです。

最暗黒の東京 (岩波文庫)

最暗黒の東京 (岩波文庫)

 

さるほどにこの残飯は貧人の間にあッてすこぶる関係深く、彼らはこれを兵隊飯と唱えて旧くより鎮台栄所の残り飯を意味するものなるが、当家にて売捌く即ちその士官学校より出づる物にて一ト笊(飯量およそ十五貫目)五十銭にて引取り(・・・)(pp.41-42)

 随分前(10年以上前!)にこの本を紹介してもらっていました。明治期文語体のため読み通せるかどうか不安だったのですが、大変読みやすく一気に読んでしまいました。また、本書の中で東京の様々な地名が出てくるため、逆に東京に来た今、読んでよかったと思っています。

この本は、筆者が明治期、まだ近代化途上の東京のスラム街を「探訪」した記録です。率直な感想として、今と変わらない面も多くあるなと感じた次第です。「三十三 日雇労役者の人数」で描かれる下請構造は現在の下請と瓜二つですし、一輪車の車夫が供給過剰となっているさまは現代のタクシー業界と似ている感があります。そんな中で異彩を放っているのは、引用にも記した残飯屋です。こんな商売があったとは。この本には、下層の様々な食べ物が出てきます(「深川めし」などもあります。)。が、あまり食べてみたいとは思わないですが…。