『ワンダーウォール』雑感

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話題のTVドラマ『ワンダーウォール』を見ました。『ワンダーウォール』とは吉田寮廃寮問題を扱ったNHK京都放送局制作のTVドラマです。脚本が渡部あやさんということで、以前見た『その街のこどもたち』のことも思い出しました。

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『ワンダーウォール』『その街のこどもたち』両方のドラマに共通するのは、「夜」が魅力的に描かれている点です。

その街のこどもたち』では、阪神淡路大震災慰霊祭前の、2人の主人公(佐藤江梨子さんと森山未來さん)が神戸の街を歩きます。2人の会話を通じて、人には伝えることができなかった心の傷が浮かび上がってきます。『ワンダーウォール』では、冒頭に、主人公のキューピーが四条河原町のバイトを終え、近衛寮(吉田寮)まで戻るシーンがあります。そして、寮生達が学生課に団体交渉しにいった後の、それぞれの寮への思い、今の社会への想いを話しあいます。

両作品で描かれる「夜」とは何なのでしょうか。それは、迷いや、試行錯誤、葛藤を許す時間なのではないでしょうか。

両作品とも「夜明け」のシーンで終わります。いくら迷いの中にいようが、学生はいつか社会の中に出ていかざるを得ません。彼ら・彼女らが入っていく「昼」の世界は、吉田寮を壊すような経済的合理性が貫徹した世界でしょう。寮がなくなることは、あの「夜」の時間がなくなることを意味します。この社会の中に、『ワンダーウォール』が描く「夜」を許容する余白がもっとあれば、より人に優しい社会になるのになと思います。

雑駁ですが、『ワンダーウォール』を見てそんなことを感じました。