狼煙を見よ

ノンフィクションマラソン35冊目は『狼煙を見よ』です。

 この本は、東アジア反日武装戦線「狼」のリーダーであった大道寺将司を追ったノンフィクションです。東アジア反日武装戦線「狼」は、北海道や沖縄も含めた東アジアへの日本(ヤマト)の植民地責任(「おとしまえ」)を問いました。そのための手段が爆弾闘争だったのですが、これにより多くの死者が出てしまいます(三菱重工爆破事件)。松下竜一は、大道寺達の思想に共感を寄せつつも、彼らの行為の責任(「おとしまえ」)がいかにあるべきかについて悩みます。

この本は、感想がなかなかまとまらない本です。分かる箇所と分からない箇所が混在しているのです。率直にいえば、彼らの思想には正当な部分があると思います。また、かなり丁寧に彼らの人となり、誠実さや迷いが書かれています。しかし、肝心の爆弾闘争については、何故その方向性に向かうのかが、今の私の実感としてよく分かりませんでした。私が手に取ったのは昨年刊行された河出書房新社版ですが、その帯に森達也が「個のままで悶える松下竜一が屹立する」と書いています。彼が私と同じような読み方をしたかは分かりませんが、私は理解可能な点と理解できない点との間でねじれるような読書をしました。