ふたつの日本

ノンフィクションマラソン42冊目は『ふたつの日本』です。

ふたつの日本 「移民国家」の建前と現実 (講談社現代新書)

ふたつの日本 「移民国家」の建前と現実 (講談社現代新書)

 

同じ日本に暮らしていても、国籍によって、在留資格によって、この国で通過する経験は大きく異なる。同じ国境の内側でも、見えないいくつものレイヤーがこの国で暮らす人々を区別し、分割している。何年滞在できるか、働くことができるか、働き先を変えることができるか、家族と共に暮らすことができるか、一人ひとりが違う。同じ「外国人」でもその境遇は大きく異なる。(p.207)

この本は、コンパクトに日本の移民問題の全体像をまとめた本です。印象的だったのは、日本の移民政策の特徴とされる「サイドドア政策」です。「サイドドア政策」とは、単純労働者を受け入れないという「建前」と、労働力不足という「現実」を解決するための方便として、正面(フロントドア)からでなく勝手口(サイドドア)から外国人を受け入れる政策で、技能実習生や留学生など就労目的でない人を実質的に労働力として活用する政策のことです。誰もが見える形で矛盾が放置され、そして、その矛盾の中で様々な人権侵害が起きている現状が簡潔な記述で書かれています。

入国管理に関する法制度は複雑で、この本を読み終えてもまだ頭の中が完全に整理できたわけではないのですが、数値や図解などにより、問題の所在のとっかかりがつかめたような気がします。そして、かなり若い書き手の方だと思うのですが、文面から問題へ向かう誠実さを感じました。