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(月3回以上更新目標)

批評アルバム

批評を書き溜めてアルバムを作ることを目指しています。(まず10本)

「【映画評】<映画>と<映像>のリミットを往還する―ジャハール・パナヒ『これは映画ではない』『人生タクシー』論」(前編)(後編) 「【ロング書評】ジャック・デリダ『アーカイヴの病』を読む」(前篇)(後篇)※前編の『モーセと一神教』の読みに誤り…

現在進行形の道徳的戦場へヤングアダルトを連れていく~梨木香歩『僕は、そして僕たちはどう生きるか』論(後篇)

(前篇はこちらから) tsubosh.hatenablog.com (2)『僕は、そして僕たちはどう生きるか』 梨木は『君たちはどう生きるか』がブームになっている一因として、今の大人たちが昔の大人たちの「育む力」に圧倒されているからではないかと推測している。 我々は…

現在進行形の道徳的戦場へヤングアダルトを連れていく~梨木香歩『僕は、そして僕たちはどう生きるか』論(前篇)

梨木香歩著『僕は、そして僕たちはどう生きるか』は、理論社のウェブマガジンで連載された後、2011年(平成23年)に書籍化された本である。(本稿では、岩波現代文庫版を使用する。本文括弧内のページ数は岩波現代文庫版のものである。梨木香歩『僕は、そし…

沈黙、発話、発達~映画『デトロイト』を活動理論で読み解く(後篇)

(中篇はこちらから) tsubosh.hatenablog.com 2 映画『デトロイト』を活動理論で解読する 映画『デトロイト』は、1967年にデトロイトで起こった「デトロイト暴動(反乱)」(Detroit riot)を描いた映画である。ただ、その暴動(反乱)の全体像を描くとい…

沈黙、発話、発達~映画『デトロイト』を活動理論で読み解く(中篇)

(前篇はこちらから) tsubosh.hatenablog.com 1.2 『拡張による学習』 拡張による学習―活動理論からのアプローチ 作者: ユーリアエンゲストローム,Yrj¨o Engestr¨om,百合草禎二,庄井良信,松下佳代,保坂裕子,手取義宏,高橋登,山住勝広 出版社/メーカー: …

沈黙、発話、発達~映画『デトロイト』を活動理論で読み解く(前篇)

本稿では、フィンランドの教育哲学者ユーリア・エンゲストローム(Yrjö Engeström)が提唱する文化-歴史的活動理論(本稿では「活動理論」と短縮します。)について『拡張による学習』を中心に紹介するとともに(前・中篇)、2018年1月に日本公開された『デ…

【ロング書評】ジャック・デリダ『アーカイヴの病』を読む(後篇)

(前篇はこちら) tsubosh.hatenablog.com 3.『アーカイヴの病』読解 デリダは様々な引用や比喩を使い『フロイトのモーセ』への批評を複雑に構成する。ここでは細かな分析に立ち入らず、あえて論の大枠を図式的に説明していきたい。 (1)アーカイヴの「ア…

【ロング書評】ジャック・デリダ『アーカイヴの病』を読む(前篇)

1.はじめに この記事(前編・後編)は、ジャック・デリダ『アーカイヴの病』の少し長い書評(紹介)である。 アーカイヴの病〈新装版〉 (叢書・ウニベルシタス) 作者: ジャック・デリダ,福本修 出版社/メーカー: 法政大学出版局 発売日: 2017/01/24 メディ…

【映画評】<映画>と<映像>のリミットを往還する―ジャハール・パナヒ『これは映画ではない』『人生タクシー』論(後編)

前編はこちら。 tsubosh.hatenablog.com 2.『人生タクシー』 (a)内容と形式 Yahoo! Japanの映画ページでは、『人生タクシー』は次のような紹介がされている(2017年12月時点)。*1 カンヌ、ベネチア、ベルリンの世界三大映画祭での受賞経験を持つ名匠ジャ…

【映画評】<映画>と<映像>のリミットを往還する―ジャハール・パナヒ『これは映画ではない』『人生タクシー』論(前編)

この記事(前編・後編)では、『チャドルと生きる』(2000年、英語題:The Circle)、『オフサイド・ガールズ』(2006年、英語題:Offside)などの作品で知られるイランの映画監督、ジャハール・パナヒが制作した『これは映画ではない』(2011年、英語題:This…

イベント行ってきました①(17年10月14日、15日)

10月14日、15日と次のイベントを聞きに行ってきました。 〇哲学と映像の「存在論的転回」@ゲンロンカフェ(10月14日) genron-cafe.jp 〇「柳澤壽男・障がい者ドキュメンタリー傑作選」2本立て上映+トーク@UPLINK FACTORY(10月15日) 【News】10/15(日…

批評ミニアルバム_メイキング1

政治情勢が動いていますが、私は変わらず自分のことを語り続けています(笑)。1本目の批評ミニアルバムラインナップについて決めました。比較的長い記事は、いずれも映画評にしようと思います。ノンフィクションマラソンも、本企画と連動させたいと思ってい…