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インターネットの法と慣習

『インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門』(白田秀彰著 ソフトバンク新書)
を読みました。

すごく面白かったのが「ポリシー・ロンダリング」の箇所です。昔、中学の社会(「公民」)の塾講師で、条約と憲法どちらが上位規範でしょう、これはまだ論争が続いています・・なんてテキトーなこと言ってきたけど、きわめて重要な論点であることをこの本から教えられました。

というのも・・・。条約など国際的な合意を結ぶ主体は行政ですが、行政は議会(立法)のように国民の意見を代表する立場にはありません。なお、日本では、「国権の最高機関」は国会であり、行政よりも国会が優先されます。しかしながら国内的に紛争がおきかねない微妙な法律の場合は、先に行政の方が国際的な合意を取り結んでしまうことがあります。そして「国際的にはこうなっていますから・・」と議会を説得することで、微妙な法律・政策をガンガン進めていくことができるというのです。まさに「国際的合意は、議会のコントロールが利いているわけでない」(p172)のです。

こういう誰もがぼんやりとしてしか考えていない基本的事柄から押さえていく著者の姿勢に共感しました。