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日本の森はなぜ危機なのか

 最近、中山道ぞいにご縁が出来た関係で、林業についての新書を読んでみました。この本は非常に面白い本です。林業の危機を踏まえつつ、この本には様々な逆転の仕掛けが散りばめられています。そのなかでここはという点。

都会と田舎の間にある問題が、情報伝達にあると著者は考えます。

例えば、日本の森林が危機だと言われる際、都会の人は、宅地造成や開発などをイメージします。実はこれが大間違いで、現在、日本の森林では、戦後、育苗した人口林をどう管理していくかが問題になっているのです。つまりどちらかといえば、木を「伐採しなければならない」のです。ここに紛れもない情報ギャップが存在します。

またこの本には以下のようにも指摘されています。きちんとした取材をしないとこの観点は出てこないと思います。

山村にとって最大の問題は、過疎と高齢化である。過疎は、直接的な人口の減少でなく、情報送受信量を乏しくする。テレビやラジオに新聞、最近ではインターネットで情報格差は縮まったとする意見もあるが、人と人が接して得る情報は別物だ。それは気力や発想力にも影響する。また山村からの情報発信も少ない、山村の事情や立場・意見の発信が少なすぎる。それが都市住民の無理解につながるとも言えるだろう。(pp.140-141)