ジャハル・パナヒ監督の新作、『ある女優の不在』(英語タイトル:3faces)を見てきました。
『これは映画ではない』、『人生タクシー』を見たとき強い衝撃を受けたのですが、この映画ではそこまでの衝撃は感じませんでした。ただ、パナヒが少し距離を保ちながら、静かに、イランにおける女性差別という困難なテーマに向かい合っている様が感じられ、好感を持ちました。
大がかりな道具や派手な演出は用いず、脚本の妙とシンプルな演出で魅せていくのがパナヒの(いわば強いられた)スタイルだと思います。改めてそのスタイルが自分の好みだと分かりました。「手作り感」ということで驚いたのは、次の記事の一節です。
女装したパナヒ監督。「サウンド、カメラ、アクション!」と自ら声がけをしてこのシーンを撮ったという
え、あのシーン、パナヒが女装して登場していたんですね。そのシーンは、ある女性が絵を描いているシーンなのですが、男性であるパナヒが女性に成り代わり絵を描くということで、持つ意味合いも違ってくるように思います(ただ、それをあの映像から判断するのはちと厳しいですが)。
この映画は、見終わった後、あのシーンの意味は何だっんだろうと思考を巡らせることもできる映画です。なかなか見れる劇場も少ないですが、足を運んでみてはどうでしょうか。また、参考までに、過去書いた記事を貼っておきます。