6月第3週 「家父長制と資本制」

家父長制と資本制―マルクス主義フェミニズムの地平 (岩波現代文庫)
家父長制と資本制―マルクス主義フェミニズムの地平 (岩波現代文庫)
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この本はとっても面白い本です。じっくり読んでいくと、さまざまな分析道具が隠れていることに気づかされます。

構成としては理論編と実践編に分かれています。

理論編では、マルクス主義一元論(経済学的一元論)では、家庭の問題を解き明かすことができないということが主張され、マルクス主義フェミニズムを双方とも利用しなければ、家庭の問題を考えることができないと主張されます。

分析編では、理論編での分析をもとに、近代以後の女性史・家族史が展望されつつ、どう女性や家族が、資本制と関係を持ちつつ変容を遂げてきたのかが分析されています。

具体的にどんな分析道具があるか紹介したいと思います。たとえば「パートタイム労働」。

上野は、日本で、女性の年齢階級別労働率がM字型となることを指摘しつつ、「パートタイム労働の発明」に注目します。パートタイム労働の発明により、女性を労働力として動員できるようになります。しかもパートタイムの勤務であることにより、旧来、女性が担ってきた育児や家事をも、今までどおりこなさなければならないことにもなり、男性中心の企業社会も打撃を受けません。パートタイム労働は、まさに企業にとって使いやすい格好の労働形態だったというのが、上野の説なのです。

さて不況のこのご時世、パート労働はどうなっているでしょうか。

厚生労働省の統計データはこちらです。女性の非正規雇用の多さ、そして雇用の減少の度合いに驚かされます。

労働力調査:平成21年1〜3月期平均の動き]>総括表

http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/4hanki/dt/index.htm

そんなの当たり前じゃないかと思ったあなた、それこそが「ジェンダーバイアス」です(笑)。