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私の体験的『方法序説』入門 3:昔感動した一節

というわけで、結局、私の『方法序説』読みは、
デカルトの論理を宗教の枠組みに帰している点で、
哲学っぽい思考ではないなと感じたかもしれません。


しかしいろいろなものを読めば読むほど、
ヨーロッパとの文化的・宗教的違いを感じるのも事実です。


話を変えます。
西洋思想をちょっとかじると、
ニーチェが本当に偉大な人だとわかります。
なぜかというと誰も正面からいわなかった


「王様(神)は裸だ!」


ということを、ずけずけといったからです。


きわめて有名な『悦ばしき知識』の一節を引いてみます。


「諸君はあの狂った人のことを聞かなかったか。
彼は明るい午前中にカンテラをともし、市場へ走り、
たえず「私は神を捜している! 私は神を捜している!」と叫んだ。
市場にはちょうど神を信じない人たちが大勢集まっていたので、
彼は大笑をかった。
いったい神が行方不明になったのか? とある者はいった。
神が子どものように道に迷ったのか? と別の者はいった。
それとも、神は隠れているのか? 
神は我々を怖がっているのか? 神は船に乗ったのか? 
移民になったのか? 彼らはてんでに叫び、笑った。
狂った人は彼らのただなかにとびこみ、彼らをじっと見すえた。
「神はどこへいったか? 」、彼は叫んだ、
「私がそれを諸君にいおう! 我々が神を殺したのだ―諸君と私が!
我々は、皆、神の殺害者だ! しかし、どうしてそうしたのか? 」



http://hatmine.hp.infoseek.co.jp/text/nietzsche.html より引用


私たちを支えていてくれた神、
理性を担保してくれていた神、
そんなものは存在せず、もう絶対確実の真理はない、
しかしその事態を引き受けて、
今ある「生」を肯定することがニーチェの思想の根幹にあります。


ニーチェの『反キリスト者』は本当に面白い著作です。
ぜひ読んでみてはどうでしょうか。