- 作者: 小田実
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2007/06
- メディア: 新書
- 購入: 1人 クリック: 11回
- この商品を含むブログ (10件) を見る
自分が「市民主義」の地平に依然留まっていることを確認してしまった。「市民主義」を理論的には批判できるのだけれど、行動や実践的側面まで含めると、なかなか手ごわいですぞ。
この本で印象に残ったのは以下の部分。
(ヨーロッパの知識人が軍事を考えていないことに触れ)
つまり雇用条件や労働問題をどうするかとは書くけれど、どこかでそういうものが欠落する。それは少なくとも当時のヨーロッパの左翼思想の一つの欠点だと思う。日本人だったら、否応なく、どんなアホも含めて、戦争や軍事のことについては、憲法の問題もあるから言わざるをえないでしょう。
(pp156-157)
だから民衆の側が法の観念をつくるのに熱心ではない。制度はお上がつくるもの、必ず悪いものだと考えて、それで反対するだけです。そうでない制度、法を自分たちでつくらなければならなくてはいけないのに、その観念が、日本では左翼にも非常に少ないと思うんです。法は、全部、体制がつくるものだと考えるから、たとえば、議員立法はほとんどない。私が考えた「市民=議員立法」なんてんのは考えもしない。
(p208)