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革命前夜の地下出版

革命前夜の地下出版 (岩波モダンクラシックス)

革命前夜の地下出版 (岩波モダンクラシックス)

めちゃくちゃ面白い本でした。フランス革命を準備したのは、ヴォルテールやルソーといった啓蒙思想だけでなく、「どぶ川のルソー」と呼ばれる三文文士である、というのが本書の主張です。内容を要約すると以下のようになります。

アンシャン・レジーム期は、王権の庇護のもと、書籍組合が書籍を独占的販売しており、三文文士たちはいわば「既得権」になかなか参入できず、「地下出版」を手掛けざるをえない状況になっていた。三文文士が手掛けたのは、ポルノグラフィのような「哲学書」や政権批判のパンフレットだった。彼らはアンシャン・レジームへの怒りに満ちており、その怒りが表現された誹謗文書が、ボディブローのようにアンシャン・レジームを揺さぶり、フランス革命およびその後の文化的状況に影響を与えた…というものです。

読書中、新聞社とネット言論の葛藤、最近話題となっている記者クラブ問題などが頭に浮かんできました。