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(月3回以上更新目標)

ぼくらはガリレオ

 

ぼくらはガリレオ (岩波現代文庫)

ぼくらはガリレオ (岩波現代文庫)

 

自分の住んでいる国の産業や科学が外国よりもとても遅れているときには、外国の産業や科学を効果的に模倣する人材が大きな成果を挙げます。しかし、一度先進国の仲間入りをしてしまえば、いろいろなタイプの人びとが知恵を出し合うほうが創造的な社会を作り上げるのに効果的だと思います。科学の歴史はそういうことを示しているとも思うのです。(p.232)

 このノンフィクションマラソンでは、自然科学関連のノンフィクションにもチャレンジしたいと思っています。20冊目の今回は、仮設実験授業の基本書ともいわれる『ぼくらはガリレオ』です。ちなみに仮説実験授業とは、次のようなものです。

仮説実験授業 - Wikipedia

高校の物理の1回目の授業で、落下運動を教わったことをよく覚えています。そこでは、まず法則を教わり、それを問題演習で応用する方法が取られていたと思います。ただ、先に法則ありきでなかなか具体的なイメージがわいてきませんでした。法則は知っていても、重いものの方が軽いものより速く落下するイメージを払拭できなかったのです。

この本では、浮力の実験、振り子の実験、坂から物を落とす実験という様々な実験を行います。また、真空の有無、原子論とキリスト教との関係などの思想的な議論を紹介し、直観的には正しいが科学的には誤っている考え方を一つずつ検討していきます。この本により、落下運動やその法則を、直観やイメージの次元で理解することが(少し)できるようになったかなと思います。

福島の原発事故以降、自然科学の基礎知識は、生きていく上で、また、人を傷つけないためにも必要になっていると考えています。大人も、児童、そしてヤングアダルトの科学のノンフィクションによって、本当は理解していない科学の基礎を学べるのではないかとも思います。またまた提案になってしまいますが、児童向け科学ノンフィクションの良書を大人向けに紹介するような本の企画は面白いのではないでしょうか。そんな本があれば是非読んでみたいです。