『麦の穂を揺らす風』(ケン・ローチ監督)を見た。
正直、ケン・ローチにしては
駄作だと感じた。
アイルランド独立を巡る話であるが、
ストーリー・テリングに工夫がなく、
展開の予想がすぐできてしまう。
例えば主人公が条約反対派につく1つのきっかけともなる場面が、
栄養失調の子供を看病した場面だが、
突然、この子供のシーンが挿入されているため、
映画のなかでのアイルランドの貧しさの
裏づけに乏しく、唐突な感じがする。
『ケス』や『レディバード・レディーバード』を
見たときの衝撃は大きかった。
あの時の方が「貧しさ」や「人間の尊厳」というものに対して
実感ある鋭い切り込みをしていたと思う。