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経済学・哲学草稿

経済学・哲学草稿 (岩波文庫 白 124-2)
経済学・哲学草稿 (岩波文庫 白 124-2)
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実は、昔、読みとおせなかったのだけれど、読み返してみて、とても現代的でクリアカットな思想だとわかりました。というか、どう読んでも、今の派遣労働者の話をしているとしか思えません。

前半が「国民経済学」批判、後半が「ヘーゲル」批判なのですが、前半部を興味深く読みました。

私の理解によれば…、

国民経済学は、経済的自由主義を唱えているが、それは産業資本家が競争を繰り返して、大産業資本家への独占支配へと至る道である。経済的自由主義は、その競争の過程で人間を「労働力」という抽象的な「商品」としてしまう「労働力」という用語であらわされる「労働」は、あくまで資本家の役に立つものであり、いわば労働者自身に敵対する「疎外された労働」となる。

以下のドキッとする言葉はすごい。「労働生産性を向上せよ」的議論を吹っ飛ばしてしまい、社会システム自体をきちんと思考しなければならない気にさせる。

しかし労働そのものは、現在の諸条件のもとでのみならず、一般に労働の目的が富の増大にある限りでは、私はあえていうが、労働そのものは有害であり、破滅的である。(p26)

ではこの悪循環(労働生産性の拡大が人間の解放を導かない)からどう脱出するか、それはこの本には書かれていない。私(たち)自身で、調べ、考える必要があるだろう。