「ベンジャミン・バトン」(デヴィッド・フィンチャー監督)を見ました。
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80歳で生まれ、徐々に若返っていく男の話。これにアメリカの歴史が重なりあわされます。
映像は素晴らしいですが、感動したかといわれると「うーん」という感じ。この映画では、時間軸を逆にすることで、生物学的な若さ・成熟ではなく、精神的な若さ・成熟が何であるかということを見せようとしています。また、いわば奇形で生まれたベンジャミンを育てたのは黒人や船乗りといった社会の主流ではない者たちです。
このように、この映画では、成熟や社会の多様性について暖かい視線で描いてはいるが、きわめて穏当な価値観のもとで描かれているように思えるのです。端的にいえば、フィンチャーに以前のような「切れ」がないのです。
これは読みすぎにあたるかもしれないけど、オバマの提示するアメリカ像と似ている感じがします。芸術はその時代の社会像を越えなきゃいけいないのでは。(でもアカデミー賞取るかもね)