テレビは男子一生の仕事

ノンフィクションマラソン44冊目は『テレビは男子一生の仕事』です。

テレビは男子一生の仕事: ドキュメンタリスト牛山純一

テレビは男子一生の仕事: ドキュメンタリスト牛山純一

 

「しかし、私は新聞記者を超える放送記者になろうとは思わなかった。学術の知識、演劇の理論、映画の方法、 新聞記者の取材経験などを、新しいテレビメディアに打ち込んで発酵させてみたい。若者はそんなことを考えていた。」(p.69)※牛山の東京新聞連載からの孫引き箇所

大島渚に『忘れられた皇軍』という傑作TVドキュメンタリーがあります。このTVドキュメンタリーは日本テレビの『ノンフィクション劇場』シリーズの一番組として放映されたのですが、『ノンフィクション劇場』のプロデューサーを務めていたのが牛山純一です。今回読んだ『テレビは男子一生の仕事』は、名プロデューサー牛山純一の一生を追ったノンフィクションです。

この本を読んで少し驚いたのは、牛山の交友範囲の広さです。大島渚土本典昭らとの交友があることは知っていたのですが、彼らの思想とは真逆に思える中曽根康弘自民党系の政治家との交流、特に政治評論家の三宅久之と深い友情関係を結んでいたことは初めて知りました。また、私たちが昔よく見ていた番組に関わっていた人々(『ニュースステーション』、『朝から生テレビ』の企画・制作を手掛けた小田久栄門など)も、この本に多数登場します。牛山がTVドキュメンタリーに賭けた思いや実践(映像人類学など)も興味深かったのですが、数多くのTV関係者のいわば「ハブ」ともいえる存在であったという点が印象に残りました。

最後に、本筋とは離れるのですが、土本典昭が『ノンフィクション劇場』の頃を振り返る中で、「テレビで沖縄問題と差別問題、原発問題を扱うのはシビアでした。日韓問題もね。」(p.159)と語る箇所があるのですが、昨今のテレビに関する事件を見てもそのシビアさを痛感します。