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越境者の思想(トドロフ自伝)

『越境者の思想』(T・トドロフ著 法政大学出版社)を読みました。

記号学の泰斗 トドロフ。青年時代、彼が共産主義国家だったブルガリアから、フランス・パリにやってきて、ともに記号学を作っていったジュネットと会う場面が面白いです。

パリでなかなか自分の理解者が現れないとき、

「私は父への手紙で自分の失望を語らざるをえませんでした。すると父は私に彼の同業のひとたち、つまり図書館関係者に会いに行くように言いました。それはいい考えでした。なぜならそれはいろいろな事情に通じている人たちであるはずだったからです。私が会いに行った相手はマルクレスさんという女性でした。彼女は国立図書館の次長でした。独身でしたが、もう若いとは言えない年齢の女性だった彼女は、私はよく整理された自宅に招きいれ、私の話に熱心に耳を傾けてくれました」(p.89)<

この会話がきっかけとなってジュネットと会うことになるのですが、図書館関係者を「いろいろな事情に通じている人」と考えたのは面白いな。。