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革命について

『革命について』 (ハンナ・アレント著/ちくま学芸文庫)
を読みました。

現実と向かいあいながら、事実の祖述に終わらず哲学している本です。畳み掛けるような、一切の秘教性を排した明晰な文体、古典への絶え間ざる参照。アレントは哲学者として必ずしも名の残る人ではないかもしれないが、「思想性」の高さは抜群だと思います。

内容はフランス革命とアメリカ革命とを対比し、後者の可能性を強調します。アメリカ革命の最良の遺産は、新しい政治経験によります。

アメリカ革命で得られた政治の概念は・・

政治とは、政党政治(代表制)がその本質ではなく、共同体の構成員すべてが参加できるものでなくてはならない。構成員はそこで議論をし個人的幸福ではない「公的幸福」を感じる。それは、自分が共同体に参加しているという幸福である。この「公的幸福」こそが「自由の空間」を構成するものであり、この「自由の空間」を維持する仕組みこそが「統治の仕組み」の本質なのだ・・・

というものです。

この彼女の主張は、圧力団体に操られた政党政治に慣れっこになっている私(たち)にとって刺激的な見慣れない思考だと思います。

自分の関心に引き寄せて言うなら、私は最近児童福祉などに興味をもっているのですが、福祉が得てして社会政策という管理的な発想となりがちな気がしています。自由・議論―これらを理論的にも実生活にも生かしていきたいなと思う。