- 作者:西山 太吉
- 発売日: 2007/05/22
- メディア: 新書
この本のポイント(白眉)は、沖縄返還協定の、第4条3項(軍用地の現状回復)、第7条(アメリカへ支払った総額)、第8条(VOA移転)が、ことごとく密約により空文化されていることを実証的に説明した箇所にあります。
http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~worldjpn/documents/texts/docs/19710617.T1J.html
細かな点については当ブログでは紹介しませんが、第4条3項に関する密約の裏側にあるアメリカの意図を以下のようにまとめられています。
「簡単にいえば、施設・区域の提供だけでなく、改良、移転などへの支出も地位協定上、可能になるようにしてくれ、というのが米側の要求であった」(p.102)
地位協定の字義通りの解釈では移転費用は米側がもつことになります。しかしなし崩し的に、米側の支出を日本側が肩代わりする密約を結んでしまったのです。西山さんは財政支出を巡る沖縄密約が、後の「思いやり予算」につながったと指摘されています。