ノモンハンの夏

ノンフィクションマラソン39冊目は『ノモンハンの夏』です。

ノモンハンの夏 (文春文庫)

ノモンハンの夏 (文春文庫)

 

ノモンハン敗戦の責任者である服部・辻のコンビが、対米開戦を推進し、戦争を指導した全過程をみるとき、個人はつまるところ歴史の流れに浮き沈みする無力な存在にすぎない、という説が、なぜか疑わしく思えてならない。そして、人は何も過去から学ばないことを思い知らされる。(pp.451-452)

 日本のノンフィクションの一大ジャンルにアジア・太平洋戦争をめぐるものがあります。そして、それぞれの作品には、それぞれの「観点」と呼べるものがあります。

ノモンハン事件 - Wikipedia

この『ノモンハンの夏』は、ノモンハン事件(ウィキのページの情報量が凄い…)を3つの観点から描いています。1つ目の観点は独ソ不可侵条約の締結の経緯など国際的関係の視点です。これは鳥の目ともいえるでしょう。2つ目の観点は現場の戦争の視点です。これは虫の目です。この本が重視するのは、3つ目の中間的視点、陸軍参謀本部関東軍の参謀たちといった、いわば「中堅エリート」の視点です。彼らが持っていた先入見、野心、責任逃れがいかに悲惨な結末を招いたかについて、時々主観的なコメントもはさみつつ、筆者は記述します。

この本から、私は組織にとって「優秀な人」とはどんな人なのだろうかということを考えされました。積極的(強硬)で、弁が立ち、最終的には無責任な人が評価されてしまう風土は、まだこの社会に根深く残っているのではないでしょうか。