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友がみな我よりえらく見える日は

『友がみな我よりえらく見える日は』(上原隆著 幻冬舎)を読みました。ホームレス同然の生活を続け妻子から捨てられた芥川賞作家や容貌ゆえに46年間、一度も男性と付き合ったことのない独身OLなど「普通」の人の生き方を描いたノンフィクションでした。(「普通」という言葉をめぐる村上龍の解説は秀逸でした)。

面白かったのは以下のくだりです。

「J・P・サルトルのインタビュー映画がある。2時間近くの間、サルトルが文学について、哲学について、政治について語る。最後にインタビューアーが『人生で一番つらかったことは何ですか?』と聞く。サルトルは、2,3秒黙っていて、ゆっくりと口をひらく。『顔だ。この問題は過酷だね』。大哲学者でも、容貌にずっとコンプレックスをもっていたのである。人生には、自分の努力ではどうにもならないことがある。」(p222)