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乱世を生きる

『乱世を生きる 市場原理は嘘かもしれない』(橋本治 集英社新書)を読みました。

むつかしい。理解するのに頭と感性両方必要です。

あえて我田引水的に話を進めるなら、<過去の振り返り方>が大事なのだという点で彼と僕とでは考えが一致していると思います。

橋本は現実を「矛盾」し「転倒」したものと考えます。とりわけ限界に来ている市場経済を更に進めようとする流れを批判します。しかしながら、単調な批判に終わらず、以下のように述べています。

「『逆転した論理をもう一度逆転させて元に戻す』というのは、『どこで論理は逆転したか』という、巻き戻しの起点を探る行為です。巻き戻してそこへ戻るということは、実は、『その更に以前のあり方を探って、”矛盾”という結果に至らない有効な可能性を拾い直す』ということです。とんでもなくめんどくさい考え方のように見えますが、『必要なものは必要である』と考えたら、そのような戻り方しかないのです。『未来を考えるためには過去を点検しなければならない』ということでもあって、別に珍しい考え方ではないのです。(・・・・)つまり『どう生きていったらいいんだろう?』は『どう考えて生きていったらいいんだろう?』でしかないのです。」