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どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた

ノンフィクションマラソン34冊目は『どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた』です。友人との会話の中で教えてもらった本です。

この本は、予防医学研究者の石川善樹さんと、ラジオアナウンサーの吉田尚記さんの対談本です。「科学的に考える」とありますが、科学的知見が時折挟まれながら雑談が続く、ライトな感じな本となっています。最近、自分の考えていることとシンクロする点がいろいろありました。例えばこんな箇所です。

吉田:(・・・)僕は「夢」って言葉を安易に使うのが大嫌いだったんです。自分にとって都合のいい欲望を持つことがなぜ、きれいごととして検証を経ずに、まるで全員が合意しているかのように言われる。でも実現すべきビジョンが素晴らしいから「夢を持つ」必要があるわけじゃなくて、高い目標があると目の前のどうでもいいことが意味を持ち始める。将来のために夢を持つんじゃなくて、「今、ここ」の意味を増すために、夢を持つ必要があるんですよね。(p.195)

感情のチェックリストを作り自らの感情をモニタリングする必要性とか、自らの本当の欲望に忠実になるべきであるといった話も参考になりました。たまたま、最近、「欲望」ということを考え直したいと思い、十数年ぶりにドゥルーズ/ガタリを読み直していました。成果はしばしお待ちを、という感じですが、現代を生きる上で「欲望」が一大論点かもしれないとの思いが補強された感があります。

ちなみに、アカデミックな話で面白かったのは、次の箇所でした。

石川:でもダイエット研究って、学問の総合格闘技みたいなところがあるんですよ。体重がどういうふうに推移していくのかを解くためには連立微分方程式を使わなきゃいけないから、そのために数学を勉強しなくてはいけない。習慣に関することだから脳科学も知らないといけない。あるいは社会の中で貧しい人ほど太りやすいという社会的問題でもある。人生そのものの縮図がダイエットに集まっている。(p.99)