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自分の薬をつくる

ノンフィクションマラソン65冊目は、『自分の薬をつくる』です。

自分の薬をつくる

自分の薬をつくる

 

自分の薬が必要だと考えているときは、つまりアウトプットするときなのです。(p.270)

この本は、著者の坂口さんが、公開でお悩み相談ワークショップを行ったときの記録をまとめたものです。このワークショップでは、坂口さんが医者のマネをし、参加者の診察を行い、その様子を会場の参加者が聞くという形式を取っています。一般に精神科やカウンセラーの診察では、プライバシーを守るため、秘密が守られる環境で会話がなされることが多いのではないかと思います。このワークショップでは、全く逆に、人の悩みを参加者が聞くことが主眼となります。

この本でとても興味深かったのは、坂口さんが悩みには個性がないが、その解決法には個性があると考えているところです。誰にも相談できないと思っていることでも、かなりありふれたものであることが多いという見解は参考になりました。その上で、坂口さんは、自分自身の「声」を大事にし、定期的に外に出していく(アウトプットする)ことが、苦境から抜け出すための自分独自の治療薬になると考えます。

このシンプルな主張に沿って、様々な参加者との軽快な会話が繰り広げられるのですが、これは是非本を手に取って読んでいただければと思います。

振り返って考えると、確かに私も何かを書いているときに不思議な安心感があることに気づかされます。このブログを書いているのも、自身のメンタルを安定させるためという側面もありますし。さらには、一見インプットにみえる本を読んだり、映画を観たりすることも、滞っている日常を進めるための、アウトプットの側面もあったのかなとも感じました。