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コンサルタントの秘密

ノンフィクションマラソン64冊目は、『コンサルタントの秘密』です。

これまでの多様性に満ちたコンサルタントの間の、共通点は何なのか。コンサルタントの仕事とは、私の定義によれば「人々に、彼らの要請に基づいて影響を及ぼす術」というものである。人々はある種の変化を望み、またはある種の変化を恐れてコンサルタントの何らかの形の手助けを求めるのである。(pp.i-ⅱ)

コンサルタントというと、どのようなイメージがあるでしょうか。私は職業柄、あまりコンサルタント業の方と会う機会がなく、テレビなどで取り上げられる華やかなイメージしかありませんでした。そのため、読み始める前少し不安感がありましたが、読み終わった後、この本は人間関係一般を考える際にも有益な本だと思いました。
筆者のいうコンサルタントの本質とは何でしょうか。私は、それを<顧客の変化をマネジメントすること>だと考えました。顧客の組織がうまくいかないとき、その組織は変化することに迫られています。しかし、コンサルタントが変化を無理やり起こしても、うまくいかないでしょう。また、その組織自体が変化することと同時に、変化しないことを望んでいる場合もあります。しかし、どんなに頑なに変化を拒んでいても、時の流れに伴う変化は誰にも平等に訪れ、どの組織も最終的には変化に向き合わざるを得なくなります。

この顧客によい変化を引き起こすという難しい仕事に向き合うため、筆者はユーモアに満ちた筆致で様々なTipsを提供していきます。本の中からはっとさせる言葉を引いてみましょう。

「よく適応すればするほど、適応力を失いがちだ」(フィッシャーの基本定理)
「何かを失うための最良の方法は、それを離すまいともがくことだ」(ホロ―マーの法則)
「それは危機のように見えるかもしれないが、実は幻想の終わりにすぎない」(ロンダの悟り第一番)

この本では、コンサルタントと顧客の信頼関係の話や、価格設定の話も出てきます。これは、顧客に安全に変化を起こさせると同時に、コンサルタントである自分自身を守るための対話のインフラ作りの側面を語っているともいえるでしょう。

私は、これからも多分、職業コンサルタントの方にお世話になる機会はあまりない気がします。しかし、他人の手助けをするとき、そして自分が変化できずに苦しんでいるときにも使える有益な本だと思いました。