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運命でなく

『運命でなく』(ケルテース・イムレ著 国書刊行会)を読みました。

人から薦められて読んだ本です。他のホロコーストものとさほど変わらないのですが、戦後に主人公がハンガリーに帰ってきてからの描写が面白いです。

戦後、強制収容所がいかに悲惨だったのかを主人公は聞かれます。しかし、ハンガリー国民が自分たちユダヤ人を、ホロコーストに送りだした張本人なのに、強制収容所は悲惨な場所であるし、かつ、送り出したハンガリー人も被害者なんだよという欺瞞が存在することに主人公は違和感を覚えます。被害者面をすることは、ものごとを、受動的に、「運命」として捉えることだ、強制収容所でさえ、「僕」は1秒1秒なんとか主体的に生きてきた。だから「僕」は、「強制収容所の幸せ」について話す必要があると考えるのです。

でも、小説、ほんと久しぶりに読みました。勘が鈍っています。