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(月3回以上更新目標)

とにかくノンフィクション100冊マラソンを達成したいなと考えています。

以下は、マラソン本のインデックスです。1件当たり、600字から800字くらいまででコンパクトに感想を書きたいと思います。箱根駅伝だと繰り上げスタートかもしれませんが、とにかく完走します!

50冊名:和田洋一灰色のユーモア』(2020.1.17)
51冊名:倉科岳志『クローチェ 1866-1952』(2020.2.1)
52冊名:森田朗会議の政治学』(2020.2.9)
53冊名:高木仁三郎市民の科学』(2020.3.7)
54冊名:木庭顕『誰のために法は生まれた』(2020.3.15)
55冊名:石原俊『硫黄島』(2020.3.28)
56冊名:好村冨士彦『ブロッホの生涯』(2020.4.18)
57冊名:中原淳+パーソル総合研究所『残業学』(2020.4.25)
58冊名:リシャルト・カプシチンスキ『黒檀』(2020.5.16)
59冊名:本田由紀教育の職業的意義』(2020.5.24)
60冊名:富田一彦試験勉強という知的冒険』(2020.6.5)
61冊目:藤原辰史『給食の歴史』(2020.7.26)
62冊目:吉見俊哉知的創造の条件』(2020.8.23)
63冊目:アントナン・アルトー演劇とその分身』(2020.8.30)
64冊目:G・M・ワインバーグコンサルタントの秘密』(2020.10.11)
65冊目:坂口恭平自分の薬をつくる』(2020.10.18)
66冊目:磯部涼ルポ川崎』(2021.6.29)
67冊目:温又柔 『台湾生まれ 日本語育ち』(2021.7.12)
68冊目:森まゆみ彰義隊遺聞』(2021.7.23)
69冊目:アート・スピ―ゲルマン『マウス(完全版)』(2021.9.26)
70冊目:毛利嘉孝バンクシー アート・テロリスト』(2022.1.31)
71冊目:ジョルジョ・アガンベン私たちはどこにいるのか』(2022.3.4)
72冊名:網野善彦日本の歴史をよみなおす(全)』(2022.8.15)
73冊目:高山明『テアトロン』(2022.9.26)
74冊目:ヴァーツラフ・ハヴェル力なき者たちの力』(2022.10.3)
tsubosh.hatenablog.com
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Contre-attaque(2023年1月)

2023年に入りましたね。
ブログを再開してから5年くらい経過しました。この5年、周りの環境に適応することに汲々としていて、自分を見失うことが多かったことは今まで書いてきたとおりです。気持ちの上でも、また実際の生活面からも「反転攻勢」に出なければならないという気持ちから、今年の日常の雑感記事のタイトルを標記のものとしました。恰好つけですが、よろしくどうぞ。
余談ですが、たまたま次の本を読んでいたら、ジョルジュ・バタイユ岡本太郎が高く評価していることを知りました(恥ずかしながら知りませんでした。)。「コントルアタック」の集会に、岡本太郎は参加していたのですね。

【旅行】

昨年末は、旧友に会うため大阪・京都に行ってきました。上の画像は、保津川下りの際に取った写真です。
私は出不精なため、外出や観光が抑制されるコロナ政策の影響は自分にはないだろうと高をくくっていました。が、ある時期から、職場以外で、ほぼ誰とも話をしていないことからくるストレスがあることに気づきました。妙に今までに経験したことのない孤独感を感じるというか、寂しさを感じてしまっていたのです。年齢の影響があるかもしれませんが。
現在、コロナ禍が収まっているとは到底いえず、単に皆で現実を観ないことにしようとしている感じがしています。とはいえ、これ以上の行動制限は心理面にも少なからず影響を与えるなとも実感しています。兼ね合いが難しいですね。いずれにせよ、なし崩しにコロナ対策を緩和するのではなく、理をもって政策変更をしていってほしいなと考えています。
この旅行、旧友に会えて楽しく、かなり成果もありました。また別の記事を書くときに、諸々、紹介していきたいなと思っています。

【映画】
年末に観た映画で印象に残ったのは、「少年たちの時代革命」という香港映画です。


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香港では、2019年の逃亡犯条例改正を巡って、大規模な反政府デモが起きました。この映画はその当時の若者たちを描いていますが、デモそれ自身がテーマになっているわけでなく、香港の現実に絶望した少女が自殺しようとするのを、若者たちがテレグラムというSNSを利用して捜索し、自殺を思いとどまらせようとする道行がテーマとなっています。
正直いって、プロットも雑で、役者の演技もうまいとはいえず、映画自体の出来はよくないと思っています。ただ、映画内の若者同士の熱い会話や、香港という故郷に対する愛に激しく感動してしまいました。あふれんばかりの愛が映画にあるのです。この映画に映し出されるマンションやデパートを見ると、日本よりも豊かではないかとさえ思えます。
経済的には何不自由がなく、逮捕などの大きな代償を払う可能性があるのに、自由を求める姿が胸を打ちました。映画のパンフレットの中に、この映画を見るといかに現代の日本が冷笑的態度に侵されているかが分かる、とありましたが、全く同じことを思いました。
やはり、私は、映画の「作り」より、取り扱われている「事象」に眼がいってしまうのだと、苦笑まじりに自省してしまいました。

ブログを書いている今、めちゃ寒いです。風邪をひかないよう気をつけましょう!

批評を書き溜めてアルバムを作ることを目指しています。(まず10本)

  1. 「【映画評】<映画>と<映像>のリミットを往還する―ジャハール・パナヒ『これは映画ではない』『人生タクシー』論」(前編)(後編
  2. 「【ロング書評】ジャック・デリダ『アーカイヴの病』を読む」(前篇)(後篇※前編の『モーセ一神教』の読みに誤りがあると思われるためその箇所はリライト予定です(2020年9月)。
  3. 「【映画評】沈黙、発話、発達~映画『デトロイト』を活動理論で読み解く」(前篇)(中篇)(後篇
  4. 「【ロング書評】現在進行形の道徳的戦場へヤングアダルトを連れていく~梨木香歩『僕は、そして僕たちはどう生きるか』論」(前篇)(後篇
  5. 「【ショート書評】アドルノ「文化批判と社会」を読み直した」(本文
  6. 「【旅行記分かりやすい映画が好きかも ~山形国際ドキュメンタリー映画祭2019旅行記」(本文

航路を決める(22年12月)

時が過ぎるのが早いです。昨年の冬がつい先日のことのように思えます。この数年、あまりよいことがなかったのですが、少し打開の兆しが見えてきました。

この数年、仕事など、今あるものに適応しよう、適応しようとしすぎていて、それ以外の時間をぐったりと過ごしていました。何を自分が楽しいと感じているかも分からなくなってきていた感覚があります。結局、何が問題だったかというと「主体性がなかった」ということなんだと思います。結構、次の動画が刺さりました。

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仕事外のことも、真剣に主体的に取り組まないといけないですね。マインドセットとして、「遊びきる」、「学びきる」、「休みきる」ということを心がけようと思います。

随分前から、学生時代からの友人に「休むときはしっかり休まないといけないよ」と言われていました。なかなか腹落ちしなかったのですが、体感としてやっと分かった感覚があります。

◆プチ旅行◆
というわけで、出不精な私ですが、近場の観光スポットに出かけてみました。上の写真は、ぷらっと行った川越です。カップルが目につきました…。次の写真は、角川武蔵野ミュージアムです。「本棚劇場」を見に行ったのですが、少し私には合わなかったかな…。というわけで、まだまだ一人旅の面白さを発見できていないですね。これからです。

◆映画◆
「ドキュメンタリー・ドリーム・ショー ―山形in東京 2022―」で上映された作品を中心に、ドキュメンタリー映画を固めて観ました。「ドキュメンタリー・ドリーム・ショー」で観た映画は次の作品です。

・『カマグロガ』(アルフォンソ・アマドル監督)
・『光の消える前に』(アリ・エッサフィ監督)
・『メイクアップ・アーティスト』(ジャファール・ナジャフィ監督)
・『リトル・パレスティナ』(アブダッラー・アル=ハティーブ監督)
・『ナイトショット』(カロリーナ・モスコソ・ブリセーニョ監督)
・『語る建築家』(チョン・ジェウン監督)

他、配信を含めて次の作品を観ました。

・『物語る私たち』(サラ・ポーリー監督)
・『セールスマン』(メイスルズ兄弟 監督)
・『未来を花束にして』(サラ・ガヴロン監督)
・『海は燃えている』(ジャンフランコ・ロージ監督)

この中で印象に残ったのは、『メイクアップ・アーティスト』と『物語る私たち』です。これについては、また別の機会に書いてみたいと思います。

航路を決める(22年10月)

10月も末となり、すっかり秋の気配が色濃くなってきました。この10月で実感したことは、コロナ禍となって友人と本当に出歩かなくなったなということです。最近、ふと「寂しさ」や「虚しさ」を感じることが多く、この2年強の失われた時間の大きさを想っていました。また、そろそろ1人旅でよいので、旅行に行った方がよいなと感じ始めています。やはり職場と家の往復だと煮詰まってきてしまいます。

◆展覧会◆

東京都美術館岡本太郎展に行ってきました。上の画像は「明日の神話」です。一流の画家は、ある時点で自分のスタイルを獲得していて、岡本太郎も例外ではありません。岡本太郎の「個性」を感じることのできる展覧会でした。

◆読書◆

機会があり、次の2冊を読みました。

1冊目は『火花』です。この小説は、自分の学生時代、モラトリアム時代を思い出させる青春小説でした。学生時代、私は、教師からよりは、近くにいる友人から多くのことを学んだと思っています。『火花』の登場人物である「神谷」ほどの存在ではないものの、私にも複数、「師匠」的な存在(先輩・同級生)が近くにいました。「師匠」的な存在が、今、社会で活躍できているかというと、必ずしもそうとは言い切れません。当時、自らに課したものの大きさや、その人自身の限界など、様々な面が問題となり、彼ら自身が当初思っていた人生を送っていないこともある気がします。ただ、それを含めての人生であり、「バッドエンド」なき「途中」の人生なのだと思うのです。何か愛おしさを感じさせる小説でした。

2冊目は、ロバート・ウェスト―ルの『かかし』です。この小説はすごいです。児童文学の重要なテーマである「自立」の問題を、とても斬新な角度から取り扱っています。この作品は、母親の再婚を巡る息子(サイモン)の心理的葛藤が昂じ、最後サイコホラー的な展開となる作品です。サイモンの心理的葛藤は、母親が、自らの意志で「母」から「女」になることで引き起こされます。サイモンは、母が、自分が許容できない他者を愛する「女」になることにショックを受けるのです。しかし、サイモンが、母を一人の女性、つまりは一人の個人として受け入れることは、サイモンが<大人>になる、<自立する>ということでもあるのではないでしょうか。感想サイトで、母親が身勝手で共感できないという感想を複数見ました。その感想は分からないわけではないのですが、「身勝手な母親」(自分の愛を貫く母親)でなければ、この作品は成立しなかったのではないかとも思うのです。他にも、軍隊の文化と画家の世界の文化の違いなど、様々な仕掛けが張り巡らされている本で、名作といわれるだけあるなと思いました。

 

11月は、もっと主体的に色々挑戦していきたいと思います。