批評を書き溜めてアルバムを作ることを目指しています。(まず10本)

  1. 「【映画評】<映画>と<映像>のリミットを往還する―ジャハール・パナヒ『これは映画ではない』『人生タクシー』論」(前編)(後編
  2. 「【ロング書評】ジャック・デリダ『アーカイヴの病』を読む」(前篇)(後篇
  3. 「【映画評】沈黙、発話、発達~映画『デトロイト』を活動理論で読み解く」(前篇)(中篇)(後篇
  4. 「【ロング書評】現在進行形の道徳的戦場へヤングアダルトを連れていく~梨木香歩『僕は、そして僕たちはどう生きるか』論」(前篇)(後篇
  5. 「【ショート書評】アドルノ「文化批判と社会」を読み直した」(本文

     

2020年までにノンフィクション100冊マラソンを達成したいなと考えています。

以下は、マラソン本のインデックスです。1件当たり、600字から800字くらいまででコンパクトに感想を書きたいと思います。まず折り返し地点の50冊目まで。

23冊目:杉田俊介宇多田ヒカル論』(2018.1.4)
24冊目:トルーマン・カポーティ冷血』(2018.1.5)
25冊目:唐澤太輔『南方熊楠』(2018.2.21)
26冊目:上野英信追われゆく坑夫たち』(2018.4.30)
27冊目:松本創軌道』(2018.9.9)
28冊目:堀田善衛方丈記私記』(2018.9.15)
※29冊目:鴨長明方丈記』は28冊目の記事で紹介しています。
30冊名:吉川浩満人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』(2018.10.8)
31冊目:チェ・ギュソク『沸点』(2018.10.28)
32冊目:久世浩司『「レジリエンス」の鍛え方』(2018.11.10)
33冊目:広瀬浩二郎『目に見えない世界を歩く』(2018.12.10)
34冊目:石川善樹+吉田尚記どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた』(2018.12.23)
35冊目:松下竜一狼煙を見よ』(2019.1.5)
36冊目:木村俊介『インタビュー』(2019.3.30)
37冊目:毎日新聞取材班『強制不妊』(2019.5.29)
38冊目:三浦英之『』(2019.6.2)
39冊目:半藤一利ノモンハンの夏』(2019.6.23)
40冊目:石牟礼道子苦海浄土』(2019.7.13)
41冊目:宮川康子『自由学問都市大坂』(2019.7.21)
42冊目:望月優大『ふたつの日本』(2019.8.5)
43冊目:野呂邦暢失われた兵士たち』(2019.8.19)
44冊目:鈴木嘉一『テレビは男子一生の仕事』(2019.9.7)
45冊目:木澤佐登志『ニック・ランドと新反動主義』(2019.9.17)f:id:tsubosh:20171019223015p:plain
※2017年(22冊目)までは、こちらから。
tsubosh.hatenablog.com

「視線を上に」シリーズ

視線を過去から未来に向けたいと感じています。心のなかにある漠然とした到達点を見つつ、近況のログを残していきます。「三歩後退一歩前進」シリーズで、少しだけ過去を振り返りました。

2018年12月初旬近況報告中旬近況報告下旬近況報告

2019年1月初旬近況報告1月下旬-3月上旬報告3月下旬-4月報告5月報告

2019年8月初旬近況報告2019年8月近況報告f:id:tsubosh:20171019223015p:plain

tsubosh.hatenablog.com

 

ニック・ランドと新反動主義

ノンフィクションマラソン45冊目は『ニック・ランドと新反動主義』です。

カルチュアルスタディーズのように対象から距離を取って社会批評を加えるのではなく、周縁文化の只中に直接立ち会うことで強度的な潜勢力を掴み取ってくること。(p.139) 

随分前から現代思想の流れには付いていけなくなっていて、内容を理解できるか一抹の不安がありましたが、英米圏の現代思想の中の「新反動主義」的な流れについてわかりやすく解説がなされていてとても勉強になりました。このように最新の動向をコンパクトにリポートするのもノンフィクションの1つの手法だと思います。

ほぼ新刊ですし、内容は直接本を読んで確認してもらえればと思います。私はこの本を読んで、昔、とある社会学の教科書に記載されていた記述に驚いた経験を思い出しました。記憶ベースなのですが、そこには、福祉政策は共産主義の実現を阻むものであり、福祉政策は資本主義的で、本質的に欺瞞であるということが書かれてありました。当時、左派政党は福祉政策に力を入れていると思っていたので少し意外な感があったのです。その記述を読んで、現在の人々が抱えている個別の課題ではなく、思想が優先されるとこんなことになってしまうのだなというのを感じた記憶があります。

『ニック・ランドと新反動主義』で取り上げられる思想は、反人間主義的な思考です。人間主義が思想的な限界があるのはそうなのかもしれません。が、資本主義の流れを加速させそれを内破させると言われても、そのようなことがどのような犠牲を産むかを考えると微妙な感じがします。

あと、この本で勉強になったのは、引用にもあるように、ニック・ランドらの思想がクラブミュージックという音楽の創作の磁場で受け入れられていたという点です。これだけ読むと、かなりトランプとは遠い感じがするのですがね。(※ニック・ランドはそのレイシズム・セクシズム的側面が批判されているらしいのですが、そこらは不勉強ですのでこの記事では記載しませんでした。)